第5章 副隊長、好きです
そして、形のいい綺麗な唇に触れようとした。
触れる前に肩を押されてソファに背中がつき、彼は私を挟むように手をついた。
「むり……我慢出来へん。」
「へ……んっ…!」
指を口の中に捩じ込まれて舌をくちゅくちゅと激しく撫でてくる。
どうしていいかわからずに口を開いたままにしているとゆっくりと引き抜かれて、私の唾液がたっぷりついたその指はそのまま彼の唇に吸い込まれていった。
私の唾液を舐めとった彼はじっと見つめ俯くと、言ってくれへんとしないつもりやったのに…とボソボソと呟いている。
「凉…僕があと何回好きや言うたら、返してくれるん?」
懇願するように上目遣いで見つめられて、泣いてしまいそうなくらい胸がギュッとする。
心臓を鷲掴みにされてるみたい…。
苦しい、苦しい…吐き出してしまいたい。
心を支配するこの気持ちを吐き出してしまえば楽になるのだろうか。
これ以上彼を待たせてはダメだ、もう何年もこうして愛されていたのだから…。
もうどうでもいい…どうにでもなれ!
これを伝えてあなたが喜んでくれるのなら…。
「……す、す……宗四郎…?」
「ん?」
待ってくれている、こんな簡単なことをすぐに言えない私を微笑んで待ってくれている。