第5章 副隊長、好きです
「ダメやん、ちゅーは嫌なんやろ?まあ、したい言われてもせぇへんけど。」
「え?」
「僕のこと好きやない子にはしてあげへん。」
意地悪な笑みを浮かべたその唇は、私の唇ではなく少し横の頬に触れたのだ。
私が好きだと言えばしてくれるの?
甘やかしてくれるって言ったじゃない、ならもっと甘やかしてよ…。
「す……。」
「ん?なんか言うた?」
好き、その言葉を言えない私はなんて弱虫なんだろう。
たった二文字なのに喉に突っかかって、それ以上は上がって来ない。
好きと言ったら、何故かあなたが離れていってしまう気がするの。
物理的な距離とかそういうんじゃなくて、あなたの心が……こんなに愛されているのに…。
「ずっと一緒にいたい…。」
彼の腰に手を回してギュッと力を込めた。
心臓の音が早くなる…私のじゃない…。
「……ははっ、ちゅーされたいん?そんな可愛ええことされたら、ちゅー以上のこともしてまうかもしれへんよ?」
腕を離して腰辺りの服を握りながら彼の顔を見上げた。
見ぃひんで…と目元を隠されてしまった。
手を取ろうとしたけど、全然剥がれなかった…。
「宗四郎になら、されてもいい…。」
「ちょ、ほんまあかんて…どうしたん?さすがに今はせぇへんよ。襲われたばっかやん。」
早く塗って…と着せられた彼のTシャツの裾を胸下まで捲る。
驚いたようにええん?と聞きながら手が離された。
え?顔どころか、耳まで真っ赤なんだけど…。
気付いたのか、すぐに屈んで頭を抱えた。
「絶対真っ赤やん、もう…顔、あっつい……いきなりそういうこと言うん、ずるいわ〜…。」
頭頂部に髪に触れるだけのキスをする。
すると、いきなり顔が上がって、今なにしたん?と見つめてくる。
まだ真っ赤じゃん…。
顔が上がったのをいいことに、頬を押さえて額に口付けた。
そのまま瞼や頬、鼻に唇を触れさせていく。