第3章 副隊長、飲みましょう
書類を纏めていると終わったかと問いかけながら近付いてくるので、頷きながら身体に力を入れる。
なにかされるっ!
「そう警戒せんでや。飲み行こ。もしかしたら、そのままお持ち帰りしてまうかもしれへんけど。」
何を言ってるのだ…というかあなたも行くんですか…。
頭を優しく撫でながら揶揄う時のような笑みを浮かべている。
「なぁ、行く前に宗四郎言うてくれへん?」
耳元で囁かれて思わず肩を震わせてしまう。
頭を撫でる手がそのまま下りて肩を抱かれ、身動きが取れなくなった。
名前で呼ぶまで離してくれる気はないようだ。
「そ、宗四郎…。」
「ん、ありがとう。めっちゃ嬉しい、ドキドキするわ…。」
ドキドキしてるのは私だよ!
ほっぺにちゅーされたし!
この人と2人きりになってはダメだ、そのうち心臓止まって死んじゃう。
手を繋がれてそのまま基地を出ていく。
いつの間にか指が絡められて恋人繋ぎになっており、手を繋いだまま店に入ろうとするので全力で止めた。
なに?と顔を見てくるので、繋がれた手を指差してふるふると首を横に振った。
「ええやん別に。凉は僕のやって見せつけておかんと…ええん?僕以外の男に腰触られたりおっぱい揉まれたりしても…。」
「そんなことするの、副隊長しかいませんよ!私みたいなのに構うもの好きはあなただけです!」
信じられないというような目をされて、意味がわからずに眉間に皺を寄せて彼を見つめる。
「まっ、ええわ。助けて言われんと、僕は助けへんからな。」
何を言ってるんだ?
なんで助けを呼ぶようなことがあると思ってるのだ。
今までだって、よく飲みに来ていた。
その度に何もなかったのだ、今回もあるはずないだろう。