第3章 副隊長、飲みましょう
あれから結構経つが、副隊長が胸を触ってきたりすることはなくなった。
いきなり後ろから抱きつかれることはよくあるが…。
今日は明日非番の人たちだけで飲もうと言われているので、急ピッチで仕事を進めている。
「凉、こっち来てやらん?」
いきなり通信機から声が聞こえて心臓が跳ねる。
断ったが来てやと強請られたので仕方なく書類等を纏めて副隊長室へ向かう。
副隊長室について満足気に笑う彼を見て、若干引いてしまった。
満面の笑顔過ぎない?
空いている席に座り書類を広げ仕事を再開する。
どのくらいで終わるかと聞かれた為、あまりかからないと答えた。
彼は椅子に座って私を見つめてくる。
え、仕事は?
確かにもう勤務時間は過ぎているけど、まだあるから残ってるんじゃ…。
「真剣な顔も可愛ええね。ふふっ、早く全部僕のもんならんかなぁ…。」
「っ!ア"ア"ッ!!ちょっと、変なこと言うのやめてください!気が散ります!」
書類を破ってしまった…。
お腹を抱えて笑いだした彼を睨むと、閉じていた目を開いて獲物を狙うかのようなその瞳に息を飲む。
「ははっ、そうやって睨んどる姿も唆られるわぁ。ほんまええ…好きや。」
ああもうっ!だから来たくなかったのに!
心臓バクバクする…。
すぐに目を逸らして仕事を続ける。
その後も何度も名前を呼ばれ好きだと言われ、その甘い声にドロドロに溶かされそうになった。