第2章 副隊長、触らないでください
ズンズンと家に向かって歩いているとグッと手を引かれて後ろに倒れそうになり、副隊長は胸で私を受け止めた。
何するんですかと斜め上を向いて睨んだが、影になって表情が窺えない。
「やっぱ帰したない。もっと一緒におりたい。そんな急がんで…。」
心臓おかしくなる…このまま一生分の鼓動をして止まってしまうんじゃないかと思う程に…。
「……どっか行きます?」
「僕ん家。」
え、いや…即答で返されても家は行きませんて…。
適当にその辺ブラブラしましょと言っても僕ん家と呟かれる。
家に連れていって何をするつもりなんだ。
「嫌がることはせぇへん。一緒におってや。」
「まっ、待ってください!家どこなんですか?」
今度は彼が私の手を引いて歩き出したので必死に止める。
どうやら私の家より近いらしい。
一旦彼の家に行き着替えを持ってもらって私の家に行くことにした。
私、なに考えてるんだろう。
先程あんなことをした人を家に招くなんて…。
「凉、敬語やめてや…名前で呼んで欲しい…同期やんか。」
いや、同期と言っても第3部隊では、の話だし、副隊長じゃないか。
歳上だし…。
私の家に向かっているとそんな風に言われたので、首を横に振った。