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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第6章 穢れた血、幽かな声



チユは、スリザリンの選手たちを見つめながら、ハリーの背中と交互に視線を送り、どこか緊張感を感じていた。


スタンドの空気が、少しぴりっとしたような気がした。


「何が起こるんだろう…」と心の中でつぶやきながら、チユはロンとハーマイオニーと一緒にスタンドを下り、ピッチへと歩き出した。



「おい、見ろよ。ピッチ乱入だ」



スリザリンの選手たちが、徐々にピッチの中央に集まり始め、チユたちが近づくと、スリザリンのキャプテン。マーカス・フリントが冷ややかな視線を投げかけてきた。


「どうしたんだい?どうして練習しないんだ?それに、あいつ、こんなところで何してるんだ?」


ロンは、スリザリンのローブを着たマルフォイに目をやりながら言った。


「ウィーズリー、僕はスリザリンの新しいシーカーだ。」
マルフォイが、にやりと不敵に笑いながら答えた。

「僕の父上が、チーム全員に新しい箒を買ってくれたんだ。それをみんなで見て称賛していたところさ。」


ロンは目の前に並べられた7本の高級箒を見て、あんぐりと口を開けた。「う、うわ…すごい…」


「いいだろう?」と、マルフォイは得意げに言った。

「だけど、グリフィンドールチームも資金集めして、新しい箒を買えばいい。クリーンスイープ5号を慈善事業の競売にかければ、博物館が欲しがるだろうよ」

スリザリンチームは大爆笑だ。

「少なくとも、グリフィンドールの選手は、誰1人としてお金で選ばれたりしてないわ。こっちは純粋に才能で選手になったのよ」
ハーマイオニーがきっぱりと言った。


マルフォイの自慢顔がちらりとゆがんだ。



「離もおまえの意見なんか求めてない。生まれそこないの『穢れた血』め」



その言葉が投げつけられた瞬間、空気がぴたりと凍りついた。

チユは思わず、ハーマイオニーの方を見た。
彼女の顔が少し引きつっていた。でも、その瞳は怒りと誇りに燃えている。



「…穢れた、血……?」



その言葉を、チユは頭の中で繰り返した。

自分は――どうなんだろう?
自分は本当に魔法界に生まれたのか、それとも、どこか遠いところから流れ着いたのか。


リーマスはその事について何も触れなかった。
ただ「大切なのは誰であるかだ」とだけ。


心の奥がぐらりと揺れた。
でも、その代わりに――怒りが、せり上がってきた。
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