第4章 欠けたはじまり
組み分け式は無事に終わり、ジニーも笑顔で仲間入りを果たした。
長テーブルの上には、色とりどりのごちそうがずらりと並び、香ばしい香りが空腹をくすぐってくる。
大皿には山盛りのローストビーフとふっくらと焼き上げられたヨークシャー・プディング、湯気を立てるバターポテトに、湯通しされたグリーンピースが添えられていた。
それに、甘い焼きリンゴとミートパイ、カリカリに焼かれたチキンウィング。
デザートの前から、すでにお腹が悲鳴を上げそうだった。
食事が始まると、生徒たちの話し声と笑い声が絶え間なく響き、ホグワーツはまたいつものように、にぎやかな夜を迎えていた。
――そのとき。
「おいおい、これ見てみろよ」
フレッドが、大きな笑顔を浮かべながら、誰かから回ってきた『日刊予言者新聞』をばさりと広げた。
「えーっと、どれどれ『空飛ぶフォード・アングリア、いぶかるマグル』……?」
ジョージが興味深げにのぞき込む。
『ロンドンで、2人のマグルが、郵便局のタワーの上を中古のアングリアが飛んでいるのを見たと断言した。
今日昼ごろ、ノーフォークのヘティ・ベイリス夫人は、洗濯物を干しているとき空飛ぶ車を目撃。ピーブルズのアンガス・フリート氏は、職場の屋上から警察に通報した。』
「……ちょっと待って、これって……」
チユが顔を上げた。
「どう考えても、あいつらだな!我々の血を引くにふさわしいじゃないか!」
ジョージが誇らしげに笑い、テーブルを軽く叩いた。
「ハッハー!ロン・ウィーズリー、わが弟ながら誇らしいぞ!」
フレッドは新聞を高々と掲げ、英雄の名を称えるように声を上げた。
「何よこれ!!」
「何だこれは!」
ハーマイオニーとパーシーが、同時に怒鳴るように言った。ふたりの顔は真っ赤で、新聞を奪う勢いで手を伸ばす。
「もう、なんであんな無茶を……!」
ハーマイオニーが肩を怒らせる。
「『無茶』?いいや」フレッドが胸に手を当てて言った。
「これは『芸術』だよ」
「ウィーズリー流のね」ジョージが付け加えた。