第4章 欠けたはじまり
「心配すんなって。ロンとハリーのことだ、なんとかしてホグワーツまで来るさ」
心配そうに辺りを見渡していたチユの横で、ジョージが軽く肩を叩きながら笑った。
「そうそう。最悪、夜空を箒で飛んでくるとか。――ま、反則だけどね」
フレッドがウインクして見せた。
その隣では、パーシーが渋い顔で腕を組んでいる。
「まったく……新学期に遅れるなど、前代未聞だ。父さんも母さんも心配しているだろうし……」
彼は深いため息をついて、首を振った。
やがて、組み分けの儀式が始まり、新入生たちがひとりずつ前に呼ばれていく。
そして――
「ウィーズリー・ジニー!」
その名前が呼ばれた瞬間、兄たちは一斉に体を乗り出した。
「おっ、ついにジニーの番か!」
「いよいよ我らが末妹がホグワーツデビューだな!」
「くれぐれもスリザリンに入らないよう祈るよ、ジニー!」
「やめてあげてよ、緊張してるってのに」
チユは思わず笑いながら小声で注意した。
ジニーは緊張した面持ちで、ゆっくりと椅子に腰かけた。
帽子が頭に乗せられると、しばらく沈黙が続き――
「グリフィンドール!」
叫ばれた瞬間、大きな拍手が巻き起こった。
フレッドとジョージはどちらが先か分からないほどの勢いで立ち上がり、
「よしっ!やったな、ジニー!」
「大勝利!おめでとう!」
と口々に叫びながら、妹を迎え入れた。
その様子を見て、チユもようやく少しだけ肩の力が抜けた。
――ハリーとロンはまだいない。
(早く来てよ……ハリー、ロン)
心の中でそっと願いながら、チユはグリフィンドールのテーブルに並んで座った。