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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第4章 欠けたはじまり




「心配すんなって。ロンとハリーのことだ、なんとかしてホグワーツまで来るさ」

心配そうに辺りを見渡していたチユの横で、ジョージが軽く肩を叩きながら笑った。


「そうそう。最悪、夜空を箒で飛んでくるとか。――ま、反則だけどね」
フレッドがウインクして見せた。


その隣では、パーシーが渋い顔で腕を組んでいる。


「まったく……新学期に遅れるなど、前代未聞だ。父さんも母さんも心配しているだろうし……」

彼は深いため息をついて、首を振った。



やがて、組み分けの儀式が始まり、新入生たちがひとりずつ前に呼ばれていく。


そして――


「ウィーズリー・ジニー!」


その名前が呼ばれた瞬間、兄たちは一斉に体を乗り出した。


「おっ、ついにジニーの番か!」

「いよいよ我らが末妹がホグワーツデビューだな!」

「くれぐれもスリザリンに入らないよう祈るよ、ジニー!」

「やめてあげてよ、緊張してるってのに」
チユは思わず笑いながら小声で注意した。


ジニーは緊張した面持ちで、ゆっくりと椅子に腰かけた。
帽子が頭に乗せられると、しばらく沈黙が続き――


「グリフィンドール!」


叫ばれた瞬間、大きな拍手が巻き起こった。

フレッドとジョージはどちらが先か分からないほどの勢いで立ち上がり、


「よしっ!やったな、ジニー!」
「大勝利!おめでとう!」


と口々に叫びながら、妹を迎え入れた。

その様子を見て、チユもようやく少しだけ肩の力が抜けた。

――ハリーとロンはまだいない。


(早く来てよ……ハリー、ロン)

心の中でそっと願いながら、チユはグリフィンドールのテーブルに並んで座った。
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