第3章 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店
さらに歩いて、小さな雑貨屋にも立ち寄った。
折れた杖、目盛りの狂った台秤、魔法薬のしみが染みついたマント……不思議なものばかりの店だったが、そこにはもう1人のウィーズリー兄弟がいた。
「パーシー……?」
「……あぁ、君たちか」
パーシーは、分厚い本を真剣に読み込んでいた。
タイトルは――『権力を手にした監督生たち』。文字だけで眠くなりそうだった。
「……楽しいの?」
「……知識は力だ。これは未来の指導者にとって必読の書だよ」
チユは小さくうなずいた。
「『ホグワーツの監督生たちと卒業後の出世の研究』……だってさ。裏表紙にでかでかと書いてある」
その声に、チユもつられて視線を向けると、そこには分厚い本を抱えて真剣な顔をしたパーシーがいた。
「こりゃ、すばらしい……」
と、ロンが冗談めかして続けた瞬間だった。
「……あっちへ行け」
パーシーが、顔も上げずに鋭く言い放った。
その声には、兄弟に対する遠慮も容赦もなかった。
ロンは気まずそうに肩をすくめながら、ハリーとハーマイオニーに小声でささやく。
「そりゃ、パーシーは野心家だからな。将来の計画はばっちり。魔法大臣になりたいんだってさ……」
ハーマイオニーは驚いたように目を丸くし、ハリーは苦笑を浮かべる。
3人はそのまま店を出ていった。
チユも、少し遅れて後を追ったけれど――
その途中で、ちらりとパーシーを振り返った。
パーシーのことは……あまり深く考えないことにしよう。