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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第3章 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店



さらに歩いて、小さな雑貨屋にも立ち寄った。
折れた杖、目盛りの狂った台秤、魔法薬のしみが染みついたマント……不思議なものばかりの店だったが、そこにはもう1人のウィーズリー兄弟がいた。

「パーシー……?」

「……あぁ、君たちか」


パーシーは、分厚い本を真剣に読み込んでいた。
タイトルは――『権力を手にした監督生たち』。文字だけで眠くなりそうだった。


「……楽しいの?」

「……知識は力だ。これは未来の指導者にとって必読の書だよ」


チユは小さくうなずいた。


「『ホグワーツの監督生たちと卒業後の出世の研究』……だってさ。裏表紙にでかでかと書いてある」

その声に、チユもつられて視線を向けると、そこには分厚い本を抱えて真剣な顔をしたパーシーがいた。

「こりゃ、すばらしい……」
と、ロンが冗談めかして続けた瞬間だった。

「……あっちへ行け」

パーシーが、顔も上げずに鋭く言い放った。
その声には、兄弟に対する遠慮も容赦もなかった。

ロンは気まずそうに肩をすくめながら、ハリーとハーマイオニーに小声でささやく。


「そりゃ、パーシーは野心家だからな。将来の計画はばっちり。魔法大臣になりたいんだってさ……」


ハーマイオニーは驚いたように目を丸くし、ハリーは苦笑を浮かべる。
3人はそのまま店を出ていった。

チユも、少し遅れて後を追ったけれど――
その途中で、ちらりとパーシーを振り返った。

パーシーのことは……あまり深く考えないことにしよう。
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