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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第3章 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店



チユは、ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人と並んで、石畳の曲がりくねった道を歩き出す。

ハリーのポケットからは、じゃらじゃらと楽しげな音が鳴っていた。
あれはきっと、革袋いっぱいのガリオンやシックルたち。


「うるさいな、金貨のくせにごきげんなんだから」

とロンがからかい、ハーマイオニーは「そういうこと言うから、失くすのよ」と呆れたように笑う。


ハリーはというと、そんな2人をなだめながら、アイスクリーム屋の前で足を止めた。


「じゃあさ、これくらいならいいよね」


そう言って、イチゴとピーナッツバターの大きなアイスを4つ買ってくれた。


「わ、冷たい!でも、おいしい」


チユは、甘いひと口に目を丸くした。


みんなでペロペロとアイスを舐めながら、ウィンドウ・ショッピングを楽しんで歩いた。

ロンは『高級クィディッチ用具店』の前でぴたりと止まり、チャドリー・キャノンズのユニフォームをうっとりと見つめて動かない。


「ロン、行くよ!もう!」


ハーマイオニーが半ば無理やりロンのマントを引っ張って、隣のインクと羊皮紙の店へと押し込んだ。

そのあと『ギャンボル・アンド・ジェイプスいたずら専門店』の前でにぎやかな声が聞こえてきた。


「やっぱりいた!フレッド、ジョージ!」

リー・ジョーダンも一緒だった。


3人とも、すっかり陽気な空気で、『ドクター・フィリバスターの長々花火一火なしで火がつくヒヤヒヤ花火』をまとめ買いしている。


「……それ、学校に持ち込むの?」

「当然だろ?戦(いくさ)に武器は必要だぜ」

「初日から見せてやるよ、ホグワーツの伝統ってやつをな!」


そう言って肩を組まれたチユは、思わず笑ってしまった。
ほんの少し不安だった新学期が、なんだか少しだけ楽しみに思えてくる。
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