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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第3章 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店




「まあ、なんとかなるわよ」


モリーおばさんはそう言いながらも、その顔にはうっすらと不安の色が浮かんでいた。


「たぶん、ジニーのものはお古ですませられると思うし……」


その言葉に、チユは思わずジニーのほうを見た。


「ジニーも、今年から一緒なんだね」

ジニーはこくんとうなずいた。


「おはよう、みなさん、いい天気ですね!」

パーシーが颯爽と台所に現れた。ちゃんと着替えて、手編みのタンクトップに監督生バッジをつけていた。

彼は空いている椅子にすとんと腰掛けようとしたが、次の瞬間には勢いよく立ち上がった。


「うわっ……! なんだこれは……」


尻の下から引っ張り出したのは、灰色でボロボロの、毛の抜けた――フクロウ。チユには最初、ほこり取りの毛ばたきにしか見えなかった。


「エロール!」


ロンが慌てて飛んできて、パーシーの手からふくろうを受け取る。

「やっと来たか、エロールじいさん。ハーマイオニーからの返事をお願いしてたんだ。ハリーをダーズリーの家から救出作戦を知らせたんだ」


ロンはフクロウの翼の下から手紙を引き抜きながら、エロールを止まり木に乗せようとした。
だがエロールはよろめいて、ぽとりと床に落ちてしまう。


「悲劇的だよな……」


つぶやきながら、ロンはエロールをやさしく拾い上げ、食器の水切り棚の上にそっとのせた。

チユは、その疲れ果てた老ふくろうを見つめながら、小さく呟いた。


「……でも、無事に戻ってきてくれて、よかったね」


ロンは頷きながら封筒をビリッと破り、手紙を読み上げた。


『ロン、チユ、ハリー(そこにいる?)
お元気ですか。すべてうまくいって、ハリーが無事なことを願っています。

それに、ロン、あなたが彼を救い出すとき、違法なことをしなかったことを願っています。
そんなことをしたら、ハリーも困ったことになりますからね。
私は本当に心配していたのよ。

ハリーが無事なら、お願いだからすぐに知らせてね。
だけど、別なフクロウを使ったほうがいいかもしれません。
もう1回配達させたら、あなたのフクロウは、それでもうお終いになってしまうかもしれないもの。

私はもちろん、勉強でとても忙しくしています。』
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