第3章 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店
「まあ、なんとかなるわよ」
モリーおばさんはそう言いながらも、その顔にはうっすらと不安の色が浮かんでいた。
「たぶん、ジニーのものはお古ですませられると思うし……」
その言葉に、チユは思わずジニーのほうを見た。
「ジニーも、今年から一緒なんだね」
ジニーはこくんとうなずいた。
「おはよう、みなさん、いい天気ですね!」
パーシーが颯爽と台所に現れた。ちゃんと着替えて、手編みのタンクトップに監督生バッジをつけていた。
彼は空いている椅子にすとんと腰掛けようとしたが、次の瞬間には勢いよく立ち上がった。
「うわっ……! なんだこれは……」
尻の下から引っ張り出したのは、灰色でボロボロの、毛の抜けた――フクロウ。チユには最初、ほこり取りの毛ばたきにしか見えなかった。
「エロール!」
ロンが慌てて飛んできて、パーシーの手からふくろうを受け取る。
「やっと来たか、エロールじいさん。ハーマイオニーからの返事をお願いしてたんだ。ハリーをダーズリーの家から救出作戦を知らせたんだ」
ロンはフクロウの翼の下から手紙を引き抜きながら、エロールを止まり木に乗せようとした。
だがエロールはよろめいて、ぽとりと床に落ちてしまう。
「悲劇的だよな……」
つぶやきながら、ロンはエロールをやさしく拾い上げ、食器の水切り棚の上にそっとのせた。
チユは、その疲れ果てた老ふくろうを見つめながら、小さく呟いた。
「……でも、無事に戻ってきてくれて、よかったね」
ロンは頷きながら封筒をビリッと破り、手紙を読み上げた。
『ロン、チユ、ハリー(そこにいる?)
お元気ですか。すべてうまくいって、ハリーが無事なことを願っています。
それに、ロン、あなたが彼を救い出すとき、違法なことをしなかったことを願っています。
そんなことをしたら、ハリーも困ったことになりますからね。
私は本当に心配していたのよ。
ハリーが無事なら、お願いだからすぐに知らせてね。
だけど、別なフクロウを使ったほうがいいかもしれません。
もう1回配達させたら、あなたのフクロウは、それでもうお終いになってしまうかもしれないもの。
私はもちろん、勉強でとても忙しくしています。』