第2章 秘密の夏休み
夜になると、暖炉の前でみんなが集まってトランプをしたり、本を読んだり、それぞれ好きな時間を過ごしていた。
チユはジョージの隣に座りながら、ロンの小言を聞き流し、フレッドの冗談に突っ込むタイミングを見計らう。
窓の外では、星が1つ、また1つと夜空に輝いている。
リーマスは今、どうしているだろう。
ちゃんと食べてるだろうか。眠れているだろうか。……寂しい思いはしていないだろうか。
そんな風に思いながら、チユはふと、自分の羽のことを思い出した。
この家に来てからずっと、背中に布を巻いて羽根を隠していた。誰にも見られないように、誰にも気づかれないように。
――もし、知られたら。
このあたたかい日々が、終わってしまうかもしれない。
そんな不安が、ふと胸を締めつける。
ジョージがふいにチユの手を取った。
何も言わず、ただ笑って、カードを1枚渡してくる。
「ほら、チユの番」
――その言葉だけで、また少しだけ心が軽くなる。
今はまだ、この幸せを信じていたい。
誰かに拒まれる未来より、ここで笑っている今を、大切にしたかった。