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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第17章 折れた杖と残されたもの



その後も夜は笑い声に包まれて続いていった。


ジャスティンが何度もハリーに駆け寄っては、手を握りしめて「本当に疑って悪かった!」と繰り返し謝る姿に、周囲から温かい拍手が送られた。
そればかりか、これまで一歩引いていたスリザリンの生徒たちでさえ、恐る恐る近寄ってはチユとハリーに小声で感謝を述べたのだ。


――ここにいるみんなが、それぞれの形で勇気を出している。
自分もその一部になれたのだと思うと、笑顔が自然にこぼれた。



やがて明け方3時、大広間の扉が勢いよく開き、巨大な影が飛び込んできた。
「やい!無事だったんだな!」

ハグリッドが大股で入ってきた瞬間、ハリーとロンはびっくりしてカスタードの皿に同時に顔を突っ込んでしまった。


「ぶはっ!」
「げほっ、甘い!」


2人が慌てて顔を上げた途端、周囲は大爆笑。
チユもお腹を抱えて涙が出るほど笑い転げた。



歓声と笑いに包まれる中、マクゴナガル先生が立ち上がった。
「さて――」


大広間が静まり返る。
「学校からのお祝いとして、今年の期末試験は…キャンセルといたします」


「えええっ、そんな!」

真っ先に叫んだのはもちろんハーマイオニー。
彼女の声がかき消されるほど、生徒たちは歓声を上げて大喜びした。



そしてさらに追い打ちをかけるように、ダンブルドアが立ち上がった。


「残念ながら、ロックハート先生は来学期、学校に戻ることはできん。記憶を取り戻すため、療養が必要じゃ」


一瞬の静寂――その後、まるで爆発したかのように、先生たちまでが一緒になって歓声を上げた。


「先生方まで!」とチユが驚いて笑うと、隣でフレッドとジョージが肩をすくめて声を揃えた。


「いやあ、こればっかりは――」
「――みんなの総意ってやつだな」


再び大広間が笑いの渦に包まれ、夜明けまで宴は続いたのだった。

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