第17章 折れた杖と残されたもの
大広間は、信じられないほどの熱気に包まれていた。
パジャマ姿の生徒たちがぎっしりと集まり、歓声と笑い声が天井まで揺さぶる。
いつもは整然と並ぶ長いテーブルの上には、ご馳走と甘いお菓子、煌めく飲み物が所狭しと並び、蝋燭の明かりがきらきらと弾けるように反射していた。
「あなたたちが解決したのね!やったわね!」
ハーマイオニーが駆け寄り、3人ををぎゅっと抱きしめる。
ハリーは顔を赤くしながらも、どこか誇らしげに笑っていた。
ふと背中をどんと叩かれた。
「よっ! 勇敢な戦士さまじゃないか!」
振り返れば、フレッドとジョージ。
2人の顔は興奮と喜びに赤く染まっていた。
「チユ、聞いたぞ!またしても大活躍だったらしいな!」
「普通なら腰抜かして終わりだぜ?」
「そ、そんな大したこと……」
チユは慌てて手を振るが、フレッドがにやりと目を細める。
「遠慮すんなって。ホグワーツの平和を守ったんだ。これはもう――」
「――公式に、ウィーズリー家のお気に入りに認定だな!」
2人が声を揃えて宣言すると、チユは頬を赤くしてうつむいた。
けれど、心の奥では――こんなふうにからかわれるのも、どこか誇らしく思えた。
「おい、ジョージ。今夜はまだ始まったばかりだぜ?」
「そうだな。こんな時こそ出番だろ」
2人はポケットから何かを取り出した。
小さな紙包み――それをテーブルの上でぱっと開くと、中からきらびやかな火花が飛び散った。
「お祝いの――」
「――特製花火!」
次の瞬間、赤と金の火花が天井近くまで舞い上がり、獅子の形になって弧を描いた。
歓声が一斉に上がる。
マクゴナガル先生が「ウィーズリー!」と叫んだが、声は歓声にかき消された。
「やったーっ!」
ロンが飛び上がり、チユも思わず笑顔で拍手する。
フレッドとジョージは肩をすくめ合いながら、誇らしげに胸を張った。