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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第16章 静寂の先に潜むもの



「ハリー、本題に入ろうか」


リドルは余裕に満ちた笑みを浮かべた。
その目は冷たく光り、蛇のように獲物をいたぶる楽しみに満ちていた。


「2度、僕たちは出会った。君にとっては過去、僕にとっては未来の出来事だが――そして2度とも、僕は君を殺しそこねた。どうして君は生き残れた? すべて聞かせてもらおうか」



リドルは一拍置き、わざとらしく声を低めた。
「話せば話すほど、君の命は長らえることになるかもしれない」



時間を稼いでいる間にも、ジニーの顔からは生気が抜けていく。
リドルの輪郭はますます濃く、実体を帯びてきている――。



(…時間がない……!)


チユは唇を噛みしめた。


フォークスと組分け帽子がいても、それがこの状況を覆す武器には到底見えなかった。
けれど黙っていては、ジニーの命は削られるばかりだ。



「……君が僕を襲ったとき、どうして力を失ったのか、誰にもわからない」
ハリーが急に口を開いた。その声は震えながらも強い意志を宿していた。



「僕自身にもわからない。でも――なぜ君が僕を殺せなかったかは、わかる」
ハリーは震える拳を握りしめる。



「母が僕をかばって死んだからだ。母はマグル生まれの、普通の魔女だった。けれど、君の呪いを……止めたんだ!」



怒りに声を震わせながら、ハリーの瞳は鋭くリドルを射抜いていた。
「去年、僕は君の本当の姿を見た。落ちぶれた残骸、かろうじて生き延びているだけの哀れな姿。君は逃げ隠れしながら……醜く、汚らわしい!」



チユは息を呑んだ。


ハリーの口からこんな激しい言葉が出るのを聞いたのは初めてだった。

彼の中に燃える怒りが、ここまで鮮烈にリドルへ向けられている――。
それもそうだ、彼の両親の仇なのだ。


ハリーにとって目の前の少年がどれほど憎いだろうか。

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