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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第15章 秘密の部屋



次に音を破ったのは――ロンが踏みつけた乾いた「バリン」という音だった。
光を近づけて見れば、それは小さな動物の頭蓋骨。さらに周囲には無数の白い骨が散乱していた。


チユの喉がぎゅっと詰まり、足が止まりそうになる。


(ジニーも……こんな骨と同じように……)
必死でその想像を振り払い、足を進めた。


曲がり角を抜けたそのとき。



「チユ……!あそこ……!」ロンが声を絞り出し、チユの腕を強く掴んだ。


前方――暗闇を塞ぐように、巨大な曲線を描くものが横たわっている。


輪郭だけがかろうじて浮かび上がる。まるで岩のように動かないそれは、しかし確かに――生き物の気配を帯びていた。


「……眠ってるのかもしれない」ハリーが囁き、息を殺す。


ロックハートはすでに目を覆って縮こまり、チユは杖を握る手に力を込めた。
心臓は耳をつんざくほどの音を立てていた。


(これが……秘密の部屋に棲む怪物……)


ゆっくりと、ぎりぎり物が見える程度に目を細めながら、ハリーは杖を高く掲げ、前方へじりじりと近づいた。


光に浮かび上がったのは――巨大な蛇の抜け殻だった。
鮮やかな緑の皮がぬらりと光り、トンネルの床にとぐろを巻いて横たわっている。
その長さは6メートルをゆうに超えているように見えた。


「うっそだろ……」ロンが力なく呟いた。



チユは喉がからからに乾き、思わず声を上げそうになったが、唇を噛んで堪えた。
(これ……生きてたらどんな大きさなの……?こんなのと戦えるのだろうか……)


そのとき――後ろでドサリと何かが倒れる音。
「ひぃっ!」ロックハートが腰を抜かし、へたり込んでいた。



「立て!」ロンが苛立ちを隠さず杖を向ける。
しかし次の瞬間、ロックハートはロンに飛びかかり、床に押し倒した。


「ロン!」チユは反射的に叫び、駆け寄った。


だが間に合わない。
ロンの杖をもぎ取ったロックハートは、いつものにやけた笑みを取り戻し、杖を高く掲げた。


「坊やたち――お遊びはここまでだ!」


「な……」チユは息を飲んだ。

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