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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第15章 秘密の部屋



ロックハートが杖を振り上げたその瞬間、チユは唱えた。
「エクスペリアームス!」


彼女の杖先から光がほとばしり、ロックハートの杖が空高く弧を描いて飛んでいく。


「うわっ――!」ロックハートはトランクに足を取られ、背中からひっくり返った。杖は宙を回り、ロンが見事にキャッチして窓の外へ放り投げる。


「スネイプ先生にこの呪文を教わったのが、失敗でしたね」ハリーが冷たく言った。


チユは息を荒げながら、それでも胸を張って答えた。
「……教わらなくても、使えてましたけどね」


ロックハートは地に這いつくばり、弱々しい目で3人を見上げた。
かつての自信に満ちた笑顔は消え、ただの卑小な男の姿しかそこになかった。



「私に……いったい何をしろと言うんだね?」震える声で彼は言った。


「『秘密の部屋』の場所も知らない……私には、何もできない……」


「運のいい人だよ」ハリーは低く言い、杖を突きつけたまま立たせた。



チユはその横で、迷いなく杖を振り上げた。
「インカーセラス!」


ロープが音を立てて現れ、ロックハートの両腕をぎゅっと縛り上げた。
彼は情けなくもがいたが、もう抵抗の余地はなかった。


「僕たちはそのありかを知っていると思う。その上、中に何がいるかもね。さあ、行こう」


ロックハートを追い立てるようにして部屋を出て、1番近い階段を下り、例の壁の文字が闇の中に光る暗い廊下を通る。


3人は嘆きのマートルの女子トイレの入口にたどり着いた。
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