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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第15章 秘密の部屋



マクゴナガル先生は蒼白な顔で言葉をつむいだ。


「最初に残された血文字のすぐ下に……こうありました。
――“彼女の白骨は永遠に『秘密の部屋』に横たわるであろう”」


その言葉に、チユの心臓はどくんと跳ねた。
フリットウィック先生がワッと泣き出し、スプラウト先生は嗚咽を押し殺すように顔を覆った。


「だ、誰ですか……?」
椅子にへたり込んだマダム・フーチが震える声で尋ねる。

「――ジニー・ウィーズリーです」


マクゴナガル先生の言葉が落ちた瞬間、ロンが隣で声もなく崩れ落ちた。


チユはとっさにロンの袖を掴んだが、彼は石のように動かない。
ハリーも青ざめた顔でロンの肩に手を置いた。


――ジニーが……!?


まだあんなに小さな女の子が……。
一体どんなに怖い思いをしているのだろう……。


チユの喉が焼けるように熱くなり、涙がこぼれ落ちた。



「……全校生徒を明日、帰宅させなければなりません」
マクゴナガル先生の声は震えていた。
「ホグワーツはこれでおしまいです。ダンブルドアはいつも仰っていた……」



そのとき、職員室のドアがバタンと開いた。
3人は思わず息を呑み、チユは“ダンブルドアだ”と直感した。


けれど入ってきたのは、あの場違いな笑顔――ギルデロイ・ロックハートだった。


「大変失礼しました! つい、うとうとと……何か聞き逃してしまいましたか?」

先生方の視線が一斉に彼へ突き刺さる。どれも怒りと憎しみに満ちていた。


「なんと、適任者が」
スネイプが冷ややかに言った。


「まさに適任だ。ロックハート、女子学生が怪物に連れ去られた。『秘密の部屋』そのものに。――いよいよ、あなたの出番ですよ」


「えっ……」
ロックハートの顔から血の気が引いた。

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