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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第15章 秘密の部屋


最初の試験まであと3日となった朝のことだった。
まだ半分眠気の残る大広間に、マクゴナガル先生の澄んだ声が響き渡った。


「皆さんに、よい知らせがあります」


一瞬、耳を疑った。
しかし静まり返るどころか、広間は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。



「ダンブルドアが戻ってくるんだ!」
「スリザリンの継承者を捕まえたんだろう!」


「クィディッチが再開されるんだ!」ウッドの声は、興奮で裏返っていた。



歓声と叫び声が渦を巻き、天井に揺れる蝋燭の炎さえ震えそうなほどだった。


フレッドとジョージまでが「校長、3倍増しでかっこよく帰還!」などと茶化し、周囲をどっと笑わせている。



やっと騒ぎが収まった頃、マクゴナガル先生は小さく息を整え、続けた。



「スプラウト先生からのお知らせによりますと……とうとうマンドレイクの収穫が可能になりました。今夜、石にされた方々を蘇生させることができるでしょう。その中の誰かが、何に襲われたのかを話してくれるかもしれません。私は、この恐ろしい1年が犯人の逮捕によって終わりを迎えることを、心から期待しています」



その瞬間、広間は爆発するような歓声に包まれた。
拍手の音、椅子の軋む音、口笛まで飛び交い、天井の魔法の空が明るさを増したように見えた。


チユはスリザリンのテーブルをちらりと見たが、マルフォイだけは顔を曇らせている。



一方、ロンはといえば、数週間ぶりに明るい顔を見せていた。


「やった!マートルに聞きそびれたことなんてどうでもよくなった!目を覚ましたら、きっとハーマイオニーがぜんぶ解き明かしてくれるさ!」


彼は嬉々として言いながら、オートミールをおかわりしている。



チユは少し眉を寄せて、口をとがらせた。
「……でも、ハーマイオニーが目を覚まして、いきなり試験って言われたら、気の毒かも」



ロンはスプーンを止め、考えるふりをしてからにやりと笑った。
「じゃあ、試験が終わるまで寝かせておいた方が親切か?」



「ロン!」チユは思わず笑い、口にしていたトーストのかけらを慌てて飲み込んだ。


そのときだった。


ジニーがひっそりとグリフィンドールのテーブルに現れ、ロンの隣に腰を下ろした。
彼女は落ち着かない様子で、ひざの上で両手をもじもじと絡めている。
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