第13章 失われた背中、残された影
昼食を食べ終えると、チユはジニー、フレッド、ジョージと一緒に中庭で卵探しをすることになった。
2人を楽しませようと、フレッドとジョージが計画したのだ。
中庭のあちこちには魔法で色とりどりの卵が隠されており、チユは目を輝かせながら探し始めた。
「こっちにあるぞ!」ジョージが指を差すと、ジニーが勢いよく駆け寄る。「待って、私も探す!」
フレッドも前に出ると、2人は笑いながら卵を奪い合うように追いかける。
チユは何度かつまずきそうになりながらも、2人の兄弟が軽く手を添えて支えてくれるたび、心の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
「おお、チユ、上手いじゃないか!」フレッドがいたずらっぽく笑いながら、小さな卵を手渡す。
「これで同点だな!」ジョージもにこにこしながら卵を差し出す。その手は、ほんの少しチユの手を包むように触れた。
チユは顔を赤らめ、照れくさそうに笑う。
フレッドがからかう声が聞こえる。
「おっと、ジョージ、力加減間違えるなよ」
ジョージは照れ笑いを浮かべ、肩をすくめながらも、チユの手をそっと離さずにいた。
「いや、これはちょっとした偶然だよ、兄弟」
チユは思わず笑い、でも心のどこかでその「偶然」に胸を少し高鳴らせていた。
フレッドはニヤリと目を細め、「ほらほら、姫、ジョージが特別扱いしてるぞ」と茶化す。
チユは慌てて手を引こうとしたが、ジョージがさっと腕を添えて軽く支え、柔らかく笑った。
「離さなくていいよ。……チユの“特別扱い”は勝手に延長しておくから!」
「なにそれ!」チユがくすぐったそうに笑った。
ジニーが嬉しそうに卵を掲げ、はしゃぎ声をあげる。
「見て、見つけたよ!」
フレッドとジョージはからかいながらも、「おお、ジニーもなかなかやるな!」と褒める。
4人の笑い声に包まれ、中庭には柔らかな空気が流れる。
チユは、こんなふうに皆と一緒に無邪気に笑える時間が、とても愛おしく思えた。
――ジョージの笑顔も、ちょっとだけ特別に感じる。