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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第13章 失われた背中、残された影


イースター休暇に入ると、2年生には新しい課題がやってきた。

来年――つまり3年生で選択する科目を決めなければならないのだ。
ハーマイオニーはこれを、とてつもなく重大なことだと考えていた。



「私たちの将来に全面的に影響するかもしれないのよ!」


長い選択科目リストにかじりつくように目を走らせていた。
彼女は紙に目を近づけすぎて、鼻先でリストを押さえてしまっている。



「えっと…これ全部難しそうに見える……」チユが呟く。
「いや、全部難しいんだよ」ロンが同意するように深いため息をついた。


ハリーはぼそりと呟いた。
「僕、『魔法薬』をやめたいな」
「それは無理」ロンがすかさず答える。


「だって、あんな授業つらいよ……」
「僕だって『闇の魔術に対する防衛術』を捨てたい」ロンが口をとがらせる。
「だめよ!」ハーマイオニーがきっぱり。


「なに言ってるの!重要科目よ!それに、これまでの科目は全部続くのよ。そのうえで、新しくいくつかを選ぶの」
 ハーマイオニーがリストを指差しながら説明する。


「うーーん……やめたい授業は沢山思いつくのに」
チユがため息を吐くと、ロンもうんざりした顔で同調した。
「残念ながらね」



その横で、ネビルが必死に舌を突き出しながらリストを眺めている。
「えっと……数占いと……古代ルーン……どっちが、難しくない?」

「数占い」ロンが適当に答える。

「どっちも響きだけで眠たくなりそうな授業だよ」チユが続けるとネビルはうーんと唸った。


ディーンは迷いに迷って、最後は目をつぶって杖でリストを突き、そこに印をつけた。
「1番勇敢なやり方だね」チユは感心したようにつぶやく。



そしてハーマイオニーは、迷いなくすべての科目に印をつけた。
「……ほんとに全部やるの?」チユが目を丸くする。


「もちろん!」ハーマイオニーは胸を張った。


(……やっぱりすごいな)
チユは素直にそう思った。

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