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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第11章 ポリジュース薬の完成



お昼を過ぎるころ、大広間からにぎやかな音楽といい香りが漂いはじめた。
それに誘われるように、チユはみんなと連れ立って階段を下りていく。


扉をくぐった瞬間、目の前に広がったのは、まるで絵本のような光景だった。

霜にきらめくツリーが何本もそびえ立ち、天井には柊と宿木の小枝がリボンのように連なっていた。
しかも、天井からはふわふわとあたたかくて乾いた雪が降ってきていて、頬に落ちても溶けない。まるで夢の中にいるようだった。


ダンブルドアは、グラスを片手に自ら立ち上がって、陽気なクリスマス・キャロルを数曲指揮し、
その横でハグリッドがエッグノッグをゴブレットでがぶ飲みするたびに、もともと大きな声が倍増していた。


フレッドとジョージはこっそり呪文を唱えて、パーシーの「監督生」バッジを「劣等生」と書き換えた。
まったく気づいていないパーシーは、みんなが笑うたびに「何がおかしい」と不機嫌そうに首を傾げていた。


マルフォイはスリザリンのテーブルから、ハリーのセーターの色がどうのこうのと皮肉を飛ばしていたが、ハリーはまったく相手にしていなかった。


(あと数時間で、思い知らせてやれるもんね)



一方、ロンはクリスマス・プディングの3皿目に突入していて、チユは呆れて眺めていた。


そんな中、ハーマイオニーが立ち上がると、手早くハリーとロンを促した。


「さあ、もう行くわよ。準備は万端?」


「えー……もうちょっとだけプディング……」


「ダメです!!」


「はーい……」ロンが口を尖らせながら答えた。


4人が席を立ち、こっそりと大広間を抜けていく。


「いよいよだね……」チユがひっそりと呟いた。


温かな魔法と笑い声に満ちたホグワーツのクリスマスは、まだ夜の顔を見せ始めたばかりだった。
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