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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第11章 ポリジュース薬の完成



最後に開いたのは、リーマスからの贈り物だった。


そっと包みを開くと、中には手縫いのブックカバーが入っていた。深い赤色の布に、色とりどりの刺繍がほどこされている。

裏返すと、角のあたりに小さくチユの名前が刺繍されていた。



(これ……リーマスが、縫ったの?)



そっと指で布をなぞると、ところどころ糸の縫い目がいびつで、不器用さが愛しく思える。


そして添えられていたカードには、彼の穏やかな筆跡でこう書かれていた。


――――――――――――――――――――――――
親愛なるチユへ。


今年は一緒に過ごせないけれど、君が元気で楽しいクリスマスを過ごしていると信じています。

君のいる場所が、いつでも君の家だよ。ホグワーツで、優しい仲間たちと笑えているなら、私はそれだけで十分嬉しい。

それでも、体調には気をつけて。夜更かしはほどほどに。あと、甘いものの食べすぎも――ね。

君の成長を心から誇りに思っているよ。


リーマス・J・ルーピン
――――――――――――――――――――――――



チユは手紙を胸に抱え、静かに微笑んだ。
ベッドのそばの棚に、モリーおばさん、ゼロのカードと並べて飾った。


外は、まだしんしんと雪が降っている。
けれど、部屋の中はぽかぽかと、あたたかかった。

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