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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第11章 ポリジュース薬の完成



クリスマスの朝が来た。寒い、真っ白な朝だった。
今日はいよいよ、作戦の決行日でもある。


雪がしんと降り積もった中庭が、窓の向こうに広がっている。
凍るような空気に頬をくすぐられながら、チユは自分のベッドからふわりと立ち上がった。
ホグワーツの塔の窓から見える世界は、まるで夢の中みたいに静かで、まっさらだった。


「……わぁ」


ベッドの足元には、色とりどりの包みが積まれていた。
プレゼントの山の中で、ひときわ騒がしそうな包みが、目を引いた。

くしゃくしゃの包装紙には『開ける時は周囲に注意!』と赤インクで殴り書きされている。
送り主はもちろん、フレッドとジョージだ。


「……あやしい」


警戒しつつも、興味には勝てず、チユはそっとリボンをほどいた。

その瞬間――

パァン!!


包みが小さく弾けて、中から紙吹雪とラメが舞い上がる。チユは思わず「きゃっ」と肩をすくめて目を閉じた。


「……な、なにこれ!」

紙吹雪の中に、いくつかの小箱と、丸められた巻物が入っていた。開いてみると、それは『いたずら初級セット:チユ専用カスタム版』というタイトルのマニュアルだった。

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いたずら初級セット for チユ

•自動的に爆ぜる手紙(授業中の退屈を吹き飛ばせ!)
•セリフを勝手に読み上げる羽根ペン(※先生の前では使用注意)
•ピンク色の煙だけが出るミニ爆弾(香りつき)
•カエルチョコに似せた「鳴くカエルグミ」(鳴き声はランダム)

*責任は一切負いませんが、笑顔は保証します。

愛と騒がしさを込めてーーフレッド&ジョージより。
――――――――――――――――――――――――


チユはあきれたように笑いながら、巻物をくるくると巻き直した。


「……ほんと、しょうがないなぁ」チユはくすくすと笑った。


次に目に飛び込んできたのは――モリーおばさんからの、手編みのセーター。

今年の色は、柔らかなミントグリーン。胸元には、小さく刺繍された「C」のイニシャルがちくちくと優しい。


「これ、あったかそう」


セーターと一緒に添えられていたのは、大きなプラムケーキ。包み紙の間から、ほんのりとシナモンの香りが漂ってくる。
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