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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第11章 ポリジュース薬の完成



みんなが怖がって距離を置いても、フレッドとジョージだけは変わらなかった。
むしろ、堂々とからかって見せることで、ハリーを“普通の1人の生徒”として扱ってくれているようだった。


もっとも――


「笑いごとじゃないぞ」

パーシーは冷たく言い放ち、行列の前に仁王立ちした。



「おい、パーシー、どけよ。ハリー様がこの通りを通られぬではないか」
フレッドが王族の従者ばりに眉をつり上げた。


「そうとも!“秘密の部屋”で血の契約を交わすお時間なのだ。遅れては大変!」



「やめてったら!」

と、声を上げたのはジニーだった。
小さな肩を震わせ、泣きそうな声で双子を睨んでいる。



最初の頃、チユも何度も双子の袖を引いて「やめなよ!」と注意した。
でも、ハリー自身は意外と気にしていないようだった。
むしろ、気が楽になっているみたいだ。



「さぁさぁ、ハリー様!次はどの者を石に変えて差し上げますか?」

「今日のおすすめは……スネイプでございます!」

「おまけに、ロックハートもおつけしますぞ〜〜!」



ハリーを含めた、周りに居た生徒たちはとうとう吹き出してしまった。


やっぱり、どれだけホグワーツの空気が重たくなっても、双子の明るさだけは、灯りのようだった。

しかし、そんな双子の道化ぶりを見るたびに、マルフォイは苛立ちを募らせ、廊下を歩くだけで空気がピリつくほど不機嫌になっていった。



「そりゃまあ、自分が継承者だって、口が裂けるほど言いたいのに言えないからさ」

ロンが呆れたように言って、片眉を上げた。


「やつにとって、悪事も“手柄”みたいなもんなんだよ。ハリーが注目を浴びてるのが、ただただ気に食わないんだろ」


その会話を聞きながら、チユは頷いた。たしかに、マルフォイのふんぞり返り具合は、最近さらに天井知らずだ。


「でも、長くはかからないわよ」

そう言って、ハーマイオニーが静かに笑った。


「ポリジュース薬、もうすぐ完成なの。彼の口から真実を引き出せる日も近いわ」
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