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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第10章 決闘クラブ、開催




「もう1つ話があるんだ」
ハリーが続ける。声がわずかに硬くなる。


「夜中に、ドビーがまた僕のところに来た」


「えっ!?」
ハーマイオニーとロンが一斉に顔を上げた。チユも反射的に身を乗り出していた。

ハリーは深く息を吐いてから、昨夜の出来事を話し始めた。


ドビーが現れたこと。何度も警告したこと。
けれど、核心に触れるようなことは、どうしても話してくれなかったこと――。

「きっと何かを知ってる。でも、僕には言えないんだ。……誰かが、ドビーを縛ってるんだと思う。話せないように。怖がってた」


ハリーの話を聞きながら、チユは無意識に自分の腕をさすっていた。背筋が冷たくなる。


(何かが、本当にホグワーツの中で動いてる。見えないところで)



「とにかく、ポリジュース薬は急がないと。マルフォイから何か聞き出せる可能性があるなら、早いほうがいい」


ロンがうなずいた。


「もし、マルフォイが関係してたら……。あいつ、平気でマグル生まれのこと“穢れた血”とか言うからな」


ハーマイオニーは黙って鍋の火を見つめていた。



月曜の朝になると、コリン・クリービーが襲われて医務室に横たわっているというニュースが校内を駆け巡った。
その瞬間から、ホグワーツの空気は一変した。


まるで重い雲が垂れ込めたように、校内には不安と疑念が渦巻いていた。
1年生たちは互いに固まって移動し、1人で行動する者には不信の目が向けられるようになった。


ジニーはは呪文学のクラスでコリンと隣りの席だったため、酷く落ち込んでいた。


そんなジニーに、フレッドとジョージが陽気に声をかける。
「元気出せよ、ジニー!笑いは最高の魔除けだぜ!」


チユは内心、それが逆効果だと感じていたが、双子は彼らなりに必死だった。


ジョージがふざけて毛のついた帽子をかぶり、フレッドは顔におできの化粧をして騒ぎ回る。
銅像の際からかわりばんこにジニーの前に飛び出したりして、もうパニック状態だった。


パーシーが怒り心頭で2人を叱りつける。


「ジニーが悪夢にうなされているんだぞ。もし続けるなら、母さんに手紙を書くからな」


その言葉に、ようやく双子はやめざるを得なかった。
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