第8章 血文字の警告
「やらなきゃいけないことはね……」
ハーマイオニーが真剣な声で言った。
「私たち、スリザリンの談話室に潜入するのよ。そして、マルフォイから話を引き出すの。正体をバレずにね」
「不可能だよ、それ」
ハリーがすぐに反論した。
ロンは笑って言った。
「だよな。僕たちがスリザリンに変装って、夢の話か何か?」
「いいえ、夢じゃないわ。現実よ」
ハーマイオニーが自信満々に言った。
「必要なのは、ポリジュース薬だけ」
「ポリ、なに……?」
ハリー、ロンが同時に眉をひそめた。
「数週間前にスネイプが授業で話してたでしょ?」
ハーマイオニーが少し呆れ顔で続ける。
「ねえ、僕たちが魔法薬の授業中、スネイプの話ちゃんと聞いてると思う?」
ロンがブツブツ言った。
「とにかく、ポリジュース薬っていうのは、自分以外の誰かに変身できる薬なの。つまり、スリザリン生の誰かに変身して、談話室に忍び込む。マルフォイが調子に乗って喋ってるところを聞き出せれば、手がかりがつかめるかもしれないのよ」
「でもさぁ……その薬、危なくないの?もし戻れなかったら、ずっとスリザリン顔で生きることになるんだよ!?」
ロンが眉間にしわを寄せる。
「効き目は時間が経てば自然に切れるの」
ハーマイオニーは手を振って説明した。
「問題は、材料よ。ポリジュース薬のレシピは『最も強力な薬』っていう本にしか載ってないの。スネイプがそう言ってたわ。その本は……図書館の“禁書棚”の中」
「禁書棚の本なんて、持ち出すには先生のサイン入り許可書が必要だよ?ポリジュース薬を作るためだなんて知られたら、絶対許可なんかおりないよ」
チユが肩をすくめる。
「ええ、だから……ちょっとだけ、騙すの」
ハーマイオニーが何気ない顔で言った。
「ただの学術的好奇心です、って演技すれば、誰か信じてくれるかもしれないじゃない」
「うーわ、絶対無理だって」
ロンが顔をしかめる。
「騙されるとしたら、よっぽど鈍い先生だけだな……」
「じゃあ……ロックハート先生、でしょ?」
チユがとぼけた顔で言った。
「それだーー!!!」
ハリーとロンが声をそろえて言った。