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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【2】

第2章 秘密の夏休み




そんな日々の合間――
チユは何度も『隠れ穴』を訪ねた。

ウィーズリー家の家族は相変わらずにぎやかで、彼女が到着するたびに双子のフレッドとジョージがふざけて歓迎してくれた。


「お、我らが姫君ご到着だ!」

「紅茶と爆発スイーツ、どっちがいい?」


ふざけた調子に思わず笑いがこぼれると、すぐにモリー・ウィーズリーが優しく迎え入れてくれる。


「まあまあ、また痩せたんじゃないの?いっぱい食べていってね」


ロンの部屋では、壁に貼られたクィディッチのポスターに囲まれながら、トランプで遊び、夜にはロウソクの明かりの下で手紙を書いたり、将来のことを語り合ったりもした。


ハーマイオニーが1度来た事もあり、そのときは3人で庭に寝転び、星を数えた。


けれど――


ハリーの話になると、2人ともどこか言葉を濁した。
「きっと忙しいんだよ」とロンは言ったが、それが本心なのかどうか、チユには分からなかった。


「でも……手紙1本くらい書けると思うの。私たちの事忘れちゃったのかな……」


そう思いながら、チユはハリー宛ての手紙をまた書き直す。
言葉を何度も消しては書き、フクロウのバロンに封筒を託すのだった。


夏はまだ続いていた。


暖かな家と、にぎやかな隠れ穴、そして届かないハリーからの手紙。

そのすべてが、チユの胸に優しく、けれど確かに重なっていく。

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