第7章 死者たちの晩餐会
「フィリバスターの長々花火を食わせたらどうなるか、ってのが実験だったのさ!」
フレッドが大笑いしながら叫び、隣でジョージが「予想以上に派手だな!」と手を叩いていた。
「チユ、危ない!」
ロンが言ったのと同時に、ハーマイオニーがチユの肩を引き、ソファの陰へ身をかがめさせた。
「いたたた……!」
パーシーの怒鳴り声が、部屋中に響き渡る。火花に驚いて転んだらしく、ローブの裾には黒い煤がついている。
「いったい何をやってるんだ、お前たちは!」
パーシーが憤然と立ち上がると、フレッドがまるで悪びれた様子もなく肩をすくめた。
「研究熱心なのが僕らの長所でさ、ねえジョージ?」
「賢者は実験を恐れない、って家のカーテンに張り紙貼ってただろ?」
「それは“夜ふかしは慎め”だ!」
パーシーは顔を真っ赤にして叫んだ。
騒動に目を丸くする1年生や、クスクスと笑う上級生たちの声が混じり、談話室は一瞬で混乱に包まれた。
生きた火トカゲは、尻尾から火花を散らしながら跳ね回り、やがて暖炉の中に飛び込む。
ぱちん、と音がして、灯のように静かに消えた。
火の粉の名残がふわふわと空中に漂い、赤や金の光が、まだ煙の残る空気の中でゆらゆらと揺れている。
チユは少し呆然としながら、そのきらめきを見上げていた。
「……あの火トカゲ、怒ってないといいけど」
「花火でしっぽ焦げてるかもな」
ロンのぼやきに、誰かがくすりと笑った。
──そして、ハロウィーン当日を迎える。