第1章 五条悟
それからすぐだったな、悟くんに別れ話をしたのは。
ー放課後の教室ー
硝子ちゃんには悟くんと2人で話をしたいと先に帰ってもらった。
「柚希帰るよー、今日はどうする?部屋でゲームでもする?」
いつものように悟くんが手を差し出してくれる。
………あー…、その手を取って繋いでしまいたいなー……。
出しかけた手を引っ込めて拳を握りしめる。
下を向いて動かない私を不審に思ったのか悟くんは柚希?と名前を呼ぶ。
「ねぇ、ほんとどうしちゃっ…」
「悟くん私と別れてほしいの…。」
私は彼の言葉に被せるように別れの言葉を切り出すと先程までの穏やかさから一変してピリッとした空気になるのを感じた。
「はっ?なんの冗談なわけ?」
下を向いたままの私の頬に手が向かってくる。
上を向くように添えられたその手は優しくて涙が溢れそうだ。
このまま上を向いたらダメだと悟くんの手を避けるように後ろに下がる。
その行動に悟くんの息を飲む音が聞こえ、その後大きな舌打ちが聞こえる。
「なぁ…、どういうこと?なんとか言えよ。なにふざけたこと言ってんの?………俺なんかした?」
いつもより低い声のトーンに喉が詰まりそうだった。
私は意を決してゆっくり悟くんをみる。
サングラスから除く空色の瞳がキッとこちらに睨むようにみている。
その瞳ですら私の鼓動を高ならせるというのに。
あなたの瞳が好きだから見るのが怖い。