第2章 カカシ
sideカカシ
あれからお互い喋らず真剣に読書をしていた。
時間で言うと1時間くらいは経っていそうだ。
本から顔をあげ、まだ読書している柚希ちゃんの方をみる。
……なんていう顔してるの、ほんと。本を読むだけでこんなになれるのはもはや才能だ。…やっぱり外で読むのは失敗だったかな、他のやつに見られたくないし。でもさすがに俺の部屋もだめだ。あれを冗談で済ませて正解だったな…。
パタンと本を閉じる。
片手の肘を膝に付き、頬杖をついた。
………集中できないな…。
いつの間にか俺はじーっと柚希ちゃんを見ていた。
柚希ちゃんはまだ真剣に本を読んでいる。
手を口に当てたり、ぎゅっと目を瞑ったり…、時折はぁーとかうーとか言いながら読んでいる。なんとなく今どこを読んでるのかわかる。
ーーそろそろあの場面だ。
柚希ちゃんはかぁーっと耳から細い首まで真っ赤になり、瞳が潤みだす。
………きっと読んでいるのは主人公と彼女の思いが通じ合った後のシーン。もう何回も読んでるのにこんな初々しい反応して。はぁー…俺をどうしたいのこの子は。いや、この子は無意識だからね、どうしようとは思ってないのはわかってるんだけどさ。
そのあとも集中して本を読んでいる柚希ちゃんを見ているとキリのいいところまで読んだのだろう、「はぁー…、なんて素晴らしいの…。」と言いながらうっとりしていた。
………かわいい。まだ出会って1週間。でも会うたびに惹かれている自分がいる。今伝えても困らせるだろうか…。それでも…。
俺は迷った。
無意識にうーんと声が出ていたのか急に柚希ちゃんがこちらを向いた。
sideカカシ end