第1章 五条悟
楽しく話をしているとあっという間に時間がすぎ、高専にきてからすでに2時間程度経っていた。
「あっ、私今日京都帰るの。もう少ししたら行かないと。」
「えー、寂しいー。柚希さんまた東京来た時に買い物行きましょうね!」
「柚希さん、また東京きた時に稽古付けて欲しいです。」
「俺も!」
「うん!今度東京きた時にね!」
「じゃ、みんな柚希送ってくるから自習してて、柚希いくよ。」
「えっ!先生だけずるーい!」
そんな声を聴きながらみんなに手を振り教室を後にした。
悟くんは自然に私の手を取り廊下を歩いて行く。
「先生なのに生徒ほっといて私を送るって、よかったの?」
「可愛い彼女が帰るんだからあたりまえでしょー?あいつら出来た子たちだから。」
みんなに申し訳ないと思ったけどもう少し一緒にいれるのが嬉しくて悟くんの手をぎゅっと握る。
「なんか高専で手を繋いでるとあの時に戻ったみたいだねー。」
「うん、ほんと。付き合ってた時もこうやって手繋いで歩いてたよね。…柚希こっち。」
曲がるはずの廊下をまっすぐ進み、図書室に入る。
懐かしい匂いがした。
図書室の中は当時と変わらず、たくさんの本が並んでいた。
図書室の奥までくると悟くんは足を立ち止まった。
「悟くん…?」
名前を呼ぶと悟くんはくるっと振り向いた。
ーー次の瞬間
悟くんは私の両手を掴み軽く本棚に押し付けた。
「なっ、なに!?…っん。」
そのまま唇を奪われる。
そのまま耳元に唇を寄せた。
「ねぇ付き合ってる時のこと思い出したって言ってたけどさ、ここで隠れてキスしてたの覚えてる?」
「…おっ、覚えてます…。」
小さな声で答えた。
………高専時代の私たちは若かったから…。
思い出せば恥ずかしくなることばかりだ。
「くくくっ、柚希ちゃん顔真っ赤だよ。いろいろ思い出しちゃった?」