第1章 五条悟
「…知ってたんだね…。あの時は…ごめんね。」
声が震える。目を伏せ、手で顔を少し覆う。
「私はみんなと違って弱かったから、弱点になるって言われて自信がなくなっちゃって…。結局五条くんを傷付ける方法でしか離れる方法もわからなくて。結局逃げたんだ、私。」
悟くんは繋いでいる手をぎゅっと握った。
「柚希は決して弱くはなかった。あれは僕と別れるための言い訳にすぎなかったんだから。僕は数年後に事実を知った時急に別れたことも暗い表情も納得がいった。僕もたくさん柚希を傷付けたと思う、ごめん。でも僕は同時に守ろうとしてくれてたって知って、なんて馬鹿で愛おしいんだろうって思ったよ…。柚希、僕ねやっぱりお前の隣に居たい。こんなにも愛おしいと思うのは柚希しか居ないんだ。」
彼の瞳が真剣で、でも少し寂しげで、心臓がぎゅっとなる。
………夢…?ではないよね。酔いだってほとんど醒めてる。五条くんがそばにいていいと言ってる…。
目の前が少しぼやけてきた。瞬きすればきっと頬に伝ってしまう。
悟くんは私の腕を持つと引き寄せ抱きしめた。
心臓の鼓動が心地よく聞こえる。
「ほんとはね、もっと早くに柚希に会いに行って話をするはずだったんだけど、でもね。」
彼は小さく笑って、でもどこか申し訳なさそうに言葉を続ける。
「もし見合いを断り続けていた僕が君と恋人になれば、きっと今度は五条悟の嫁っていうポジションになって、コソコソ言われるようになると思う。だから荷が重いかなって思って…。僕最強なのに柚希のことになると途端に弱気になっちゃって…情けないね…。」
私は悟くんの胸を軽く押すと悟くんは特に抵抗なく離れてくれた。
ゆっくり悟くんの顔を見るも黒のアイマスクで表情がわからない。
「五条くん…、アイマスク取ってもいい?瞳が見たい。」
悟くんのアイマスクに手をかける、抵抗もしなかったのでそのままアイマスクを下に下げる。
サラリと上がっていた髪の毛が垂れ、綺麗な瞳が見えた。
………吸い込まれそうだ…。