第1章 プロローグ
『ふぅ…こんなもんかな』
怪獣8号についての資料を自分なりにまとめて見たのだ。
やはり気になるのは…
"怪獣さんが助けてくれたの…"
『怪獣が人を助ける……か』
そんなのありえない、心優しき怪獣なんて存在しない。
怪獣は全て討伐するべきだ‥…
私の両親は17年前、怪獣に殺された。
両親は二人とも防衛隊員だった。
周りにはあまり言っていないが、母は第2部隊の隊長をしていた。
殉職した母の後を受け継いでくれたのが、現役長官である四ノ宮長官の妻、四ノ宮ヒカリさんだった。
ヒカリさんは私を娘のように可愛がってくれた。
周りのサポートもあったおかげで私は今ここにいるのだ。
でも、そんなヒカリさんも殉職したのだ。
私の大切な人たちは皆んな怪獣に奪われた。
許せない……。
でも何故か心の何処かではあの少女の言葉を信じたい自分もいる。
『ッ…さてと隊長に提出しに行こ』
余計なことを考えるのはやめて、気持ちを切り替える。
資料を提出したら、その次は明日の試験についての最終ミーティング、その後は隊員たちとの面談だ。
補佐官は隊長や副隊長の仕事とさほど変わりがない。
なにかと忙しく、1日があっという間なのだ。
今日は日勤だけど、恐らく帰りは22時はすぎるだろう。
『さて、もう一踏ん張りだ』
自分に喝を入れ、私は隊長室へ向かうのであった。