第6章 出会い
第2部隊元隊長の神崎ユキ
四ノ宮長官と肩を並べる実力の人やった。
戦いの女神アテナと称賛されるほど彼女は強く、そして彼女のいる戦場では死者が出なかった。
僕も幼いながらも彼女を尊敬していた。
然し、悲劇は起きた。
17年前、彼女は殉職した。
聞いたところによれば、彼女はその日非番だったそうだ。
然し、偶々怪獣が現れた場所に居合わせたのだ。
彼女は民間人を逃す為にスーツを着用することもせず怪獣と戦ったそうだ。
彼女のおかげで死者は彼女含めて二人…
もう一人の犠牲者は確か…
「ッ!まさか白雪の父親って…」
『うん、あの日のもう一人の犠牲者』
彼女の言葉に目を見開いた。
もう一人の犠牲者も防衛隊員やった、あまり彼の名はニュースなどで報道はされてへんかったけど、彼は防衛隊の新人白雪ヒロト。
神崎隊長と白雪隊員の葬儀に出てたから彼のことを僕は知ってた。
そやけどまさかこの二人が夫婦やったとは知らんかった。
そこで思い出した、前列で静かに泣いていた女の子を…
犠牲者の親族であろう。
泣いている彼女を励まそうと幼いながらに思った僕は彼女のそばに行き…
「僕、防衛隊員になるねん。僕が怪獣やっつけたる!」
『ッ!…うん、ありがとう』
僕の言葉にその女の子はにっこりと微笑んだ。
その女の子こそ白雪やったんや。
まさかそんな昔に出逢ってたとは…
『保科くん…?どうしたの?』
「いや、なんでもあらへん!」
彼女と昔会ってたことは黙っとくことにした。
それを言うのは僕が周りに認められてからや。