第4章 正体
「か、怪獣とはなんのことか…さっぱり」
「お、俺たちが来た時には四ノ宮と白雪補佐官が倒れていたので…」
分かりやすく動揺する二人。
然し勿論、素直に話す訳もなくとぼける。
そりゃそうだ、そんな簡単に認めるわけはない。
認めれば即討伐される可能性があるのだから。
カフカが怪獣だという証拠はないし、なんなら見てもない。
聞いただけだ…
彼らに信用してもらう為にエマは自身の過去を話し始めたのであった。
『17年前、私の両親は怪獣に殺されたの』
「えっ…?」
エマは包み隠さず全てを話した。
怪獣を憎んでいるということも含めて。
だけど…
"優しい怪獣さんが助けてくれたの…"
「ッ…」
『3ヶ月前、怪獣8号の唯一の目撃者の少女の言葉よ。私も彼女の言葉を信じたいの、もし本当に優しい怪獣がいるのなら…救える命が増えるかもしれない。もう大切な人たちを失いたくないの…』
「…そんな過去があったんですね…。でもすみません、ほんとに何も知らなくて…」
エマの過去を知り、レノは心を痛めるもカフカを守るためにシラをきる。
これ以上問い詰めてもなにも出てこないと判断したエマは引き下がることにした。
『そう…変なこと聞いてごめんなさい。それじゃ私はこれで…あっ、二人ともアタッカーへの援護はなかなかいい判断だったわよ』
部屋から出ようとドアノブに手をかけた時だった。
「待って下さい!!」
「ちょっ!先輩!!」
「俺…なんです」
カフカの言葉にエマは振り向き、カフカを見つめた。
真っ直ぐな彼の瞳に、彼が嘘をついていないとエマは確信した。
『詳しく話してくれる…?』