第4章 正体
"アンタ…怪獣だったの?"
"キコル…お願い!お願い!どうかこの事は防衛隊にはナイショでお願いしますー!!"
"お前もうちょっと自分を大切にしろよな…あがっ!"
"あんたもなっ!!".
"あっ!市川なぜここに!?"
えっ?どういうこと?
声からして四ノ宮さん、市川くん、そして…
日比野さんの3人の話し声がした。
会話だけだが、日比野さんが怪獣で…
防衛隊にはナイショにしててと四ノ宮さんにお願いしてる…?
夢?現実?
どっちなの?
自分の目で確認しなくちゃ…
瞳を開ければ…眩しい光と共に目の前に映し出されたのは…
『ンっ!…そ、保科副隊長…』
「目ぇ覚めたか?めっちゃ心配したやんか!!」
『ッちょっ…!』
私に覆い被さり抱きついてくる彼を慌てて退かせようとするも…
「大丈夫や、僕しかおらん」
周りを見渡せば確かにここには彼と二人きりのようだ。
安心して大人しく彼に抱きしめられる。
『そ、っか…はっ!四ノ宮さんは!?』
彼の言葉に安心するも、すぐさま彼女のことを思い出す。
慌てて彼に彼女が無事かと確認する…
「安心しぃ、四ノ宮も無事や。昨日目ぇ覚まして君に助けてもらったって感謝してたわ」
『よかった…ンぅ!…そ、しろう?』
突然キスをしてくる彼に注意しようとしたものの、彼と目があった途端、言葉を飲み込んだ。
何故なら‥…
「ちゅっ…ほんま心配した。君を失ったら僕は生きていかれへんねんから…頼むから無理せんでくれ」
宗四郎が不安げな瞳をしていたからだ。
そして再びぎゅっと抱き締められれば、彼がほんの少し震えているのを感じた。
私が彼をここまで不安にさせてしまったのだと気付き、彼の背中に手を回しぎゅっと抱きしめ返した。
『宗四郎、不安にさせてごめんなさい。』
「ほんまやで…でも無事でよかった」
私が目覚めたとのことで、医療班が部屋にやって来るまでの3分間、私たちはお互いの存在を確かめ合うように抱き合っていたのであった…