第3章 選抜試験
《キコルside》
もうダメだと思った…
完璧でいられなかった…
パパ、ごめんなさい…
ヤツの攻撃を避ける力もない、痛みに備えて反射的に瞳を閉じた時だった…
バンバンッ‥…グシャッ
なかなかやってこない痛みに恐る恐る瞳を開ければ…
「…はっ!」
『一人でよくやったわ、四ノ宮』
「白雪補佐官…」
私の前に立っていたのは白雪補佐官だった。
『四ノ宮キコル確認!負傷してます…通信機が繋がらない…?ッ!出血が酷いわ、落ち着いて一つずつ止血しなさい』
自分とさほど年齢の変わらない彼女なはずなのに、とても大人に感じた。
そして何処となく安心感があった。
「ッはい…ッ!白雪補佐官!!」
背後から彼女へ攻撃を仕掛ける本獣、慌てて声をかけるも…
間に合わない!
そう思ったが…
バンバンッ!
あまりのスピードに一瞬何が起こったのかわからなかった…
本獣の咆哮が響き渡った。
『修復が早いわね、悪いけど私が足止めするから貴女はシェルターへ向かいなさい!』
「ッ!でも…」
私だけ逃げる訳には行かない…
私は…完璧でいなくちゃ…
『補佐官の言うことは聞かないかしら?』
「ッ!そ、そんなことは!」
『なら、行きなさい!これは命令よ、それに私はこれでも…』
バンバンバンッ
ぐぁあああ!!
「なっ!」
本獣の修復しかけている箇所を的確に狙い撃ち抜き、動きを封じる補佐官に息を呑んだ。
あんな小さくて見えづらい箇所を瞬時に見抜くなんて…
『一応、元第一部隊の副隊長だったのよ?』
「なっ!///」
ふっと微笑む白雪補佐官はあまりにも美しく、そしてカッコよかった。