第17章 終わりの始まり
『失礼します…』
「白雪、急に呼び出してすまない。怪我は大丈夫か?」
『はい、大丈夫です!』
「悪いんだが、これを頼みたい…」
『これは…ッ!』
隊長に手渡された資料は…
日比野さんについての資料だった。
「小此木にも頼んではいるが、補佐官であるお前から見た日比野カフカについてもまとめて欲しい」
日比野さんの経歴、彼がどんな子供時代を過ごして何故防衛隊に志願したのか…
それはそれはびっしりと書かれた資料だ。
あの戦いの後、隊長は休まずにこの資料を作っていたのだ。
「私は日比野カフカを助けたい、この基地を…私たちを守ってくれた。信じたい、日比野…カフカくんを私は信じたい」
隊長の瞳は力強かった…
『勿論です。私も信じています、日比野さんのこと…』
宗四郎には私が彼の正体を知っていたと言うことは周りには秘密にしとけと言われている。
それが日比野さんの為でもあると宗四郎に言われたから…
「ッ!頼む、白雪」
『はい!時間がありません、早速私も資料作成に取り掛かります』
そう、日比野さんには時間がない。
明日、有明りんかい基地に移送されると決まったのだ。