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キミの隣【保科宗四郎】

第16章 約束


カフカが地面に着地したと同時に凄まじい爆音と爆風が立川基地を襲った。

暫くすると立川基地には静かさが戻り、雲で覆い被されていた月が顔を出したのであった…

長い夜が明けたのだ。

「エマ、大丈夫か?怪我あらへんか?」

『大丈夫だよ、ありがとう。宗四郎…ッ!』

宗四郎に手を貸してもらい立ち上がった時だった…

「怪獣8号…身柄を拘束する」

ミナと数人の隊員に銃を向けられるカフカ

『日比野さんっ!…ッ!』

その様子を見たエマはたまらずカフカの名前を呼んだ。

エマの方をチラッと見たカフカ。

ほんの一瞬目が合った二人…

カフカは瞳で訴えた。

何も言うなと…

エマが自分の正体を知っていたのに黙っていたとなれば、処罰される可能性もあったからだ。

そんなことはエマも承知の上…

然し、エマは何も言えなかった。

カフカの瞳から後は頼むと訴えられたからだ…

側から見ればエマの様子は普通の反応、然し保科だけはエマの僅かな変化に気付いた。

「エマ、お前まさか…」

保科の言葉にエマは小さく頷いた。

重い空気が漂った…

「ッ…あとで話しよか…まずは治療が先や」

『はい…』


立川基地襲撃はこうして幕を閉じたのであった。

連れて行かれる日比野さんの後ろ姿をただ見つめていた。

何も出来ない自分に腹が立った。

彼がいなければ、自分も…宗四郎もここにいる全員が死んでいたのだから。

『ッ…!宗四郎…?』

握りしめた拳にそっと宗四郎の手が重なり、握りしめられた。

「大丈夫や…」

ただまっすぐ日比野さんの後ろ姿を見つめ、そう言葉を呟いた宗四郎…

握りしめられた手はほんの少し震えていたのであった。


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