第16章 約束
『伐虎…?』
伐虎の鳴き声がいつもと違うことにエマは気付いた。
それは周りの隊員たちもだった…
「ん?…ハッ!」
『そ、んな…』
伐虎の視線の先に釣られて空を見上げたエマは目を見開いた。
上空に群がっていたのは生き残った翼竜系怪獣…
そしてそれらは集結し、巨大な爆弾へと姿を変えていたのであった。
「さっきの叫びは断末魔やなかったんか…」
"エネルギー反応増大中…超巨大余獣爆弾です!"
オペレーションルームからの報告にパニックになった一部の隊員たちは爆弾を撃ち落とそうとする。
「やめろ!撃つな!!!
バァン!!!
『うっ…』
「エマっ!」
「「うわっ!ぐっ!!」」
爆風がエマたちを襲う…
「総員退避!」
あかん、もう間に合わん…
あんなんが落ちたら…
「人間…この勝負引き分けだな」
討伐したかに見えた10号はまだ生きていたのだ…
どないしたらええんや!!
頭の中で必死に考えるも答えは見つからん。
そん時やった…
『宗四郎…』
「エマ…」
小さく僕の名前を呼ぶエマ…
先ほどの爆風でエマを抱き寄せていた。
腕の中にいるエマは不安な表情…
然し、覚悟をした顔でもあった。
エマの手をぎゅっと握り締め、肩を抱き寄せた。
「ずっと一緒や…」
保科の言葉にエマは小さく頷いた。