第15章 雨の日《過去編》
今までずっと気付かないフリをしてきた、保科くんのことが好きだってことを。
恋愛自体全くしてこなかった、大切な人を作るのが怖かった。
失うのが怖かったから…
鳴海隊長にも同じことが理由で断っていた。
でも彼は…
「僕は最強だよ?死ぬわけない」
っといつも言っていた。
たしかに鳴海隊長は強い、1番近くで見てきたからこそ分かる。
それに惹かれてたのも事実だった、だから付き合った。
でも心の奥底にはいつも保科くんがいた。
辛い日は特に保科くんと過ごした新人時代を思い出してた。
いつも明るくて私を笑顔にしてくれた彼は太陽のようだった。
当時は恋愛なんて全くだったからその気持ちは仲間としての好きだと思ってた。
だけど、彼と離れて鳴海隊長と付き合ってから気付いてしまったのだ。
本当の気持ちに…
自分はずるい女だ。
こんな女は保科くんには相応しくない。
保科くんに好きになってもらえただけで幸せだ。
だから…
『保科くんごめん…私なんかよりもきっと…「僕は君がええねん!」えっ…』
「君は僕にとって月やねん」
『月…?』
「暗闇を照らしてくれる存在。亜白隊長から聞いた、君が僕を第3部隊に推薦してくれたこと。君は新人時代からいつも暗い道におる僕を照らしてくれてたんや…今度は僕が君を照らす番や」
保科くんの言葉が胸に刺さる…
すごく嬉しかった、私をそんな風に思ってくれてたなんて…再び涙が溢れた。
今日はよく泣く…違う、保科くんの前だから泣けるんだ。
『保科くん…私ずるい女だよ?』
「かまへん、僕かてずるい男や。弱ってる君に告白したんやから」
にっこりと微笑む彼は本当に太陽のようだ。
「エマ…好きやで」
『ッ…私も保科くんのことが好き…』