第15章 雨の日《過去編》
「よう頑張ったな、ずっと泣くの我慢してたんやろ。こうやったら見えん。好きなだけ泣き」
再びぎゅっと抱き締められた。
保科くんの腕の中は凄く暖かかった…
『ぅう…うぐっ…』
安心してか、涙が一気に溢れ出した。
保科くんは何度もよく頑張ったって言って頭を撫でてくれた。
どれほど泣いていたのだろう…気付けば雨は止んでいた。
落ち着きを取り戻した私はここで漸く気が付く。
『ほ、保科くん…//ご、ごめんね』
そう、保科くんにずっと抱き締めてもらっている事に…
慌てて彼の腕の中から逃げ出し、謝った。
保科くんもびしょ濡れだ…
水も滴るいい男…とはこう言うことだろう。
雨に濡れてびしょ濡れの髪をかきあげた保科くんがやけに色っぽく見えて胸がキュンとする…
これ以上は見ちゃダメだと思って視線を下へ向けた…
「ん?かまへんよ、僕が好きでしたことやし。それより返事聞かせてくれる?」
『へっ!?//』
保科くんの言葉で下に向けてた顔をガバッと上げた。
すると…
「アハハッ!めっちゃおもろい顔するやん、白雪のレアな顔見れたわ!」
『も、もう!保科くんったら!!…ッ!///』
保科くんの手が優しく私の頬を撫でた。
その手つきは壊れモノに触れるようにそっと優しく…
「好きやで…エマ」
真っ直ぐ見つめる彼の瞳に嘘はない。
やっぱりもう無理だ。
自分の気持ちに嘘をつくのは…