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キミの隣【保科宗四郎】

第15章 雨の日《過去編》


「白雪副隊長、ここはお願いしますね♪」

『えっ?』

「副隊長クラスならこれくらい大丈夫でしょ?やっぱり…隊長に媚び売って副隊長に上がれた顔と躰だけが取り柄の副隊長さんなんですか?」 

私の耳元で囁く彼女。

その言葉に私は腹が立ってしまい…

『ッ…分かりました、ここは私1人で大丈夫です』

ついつい彼女の挑発に乗ってしまったのだ。

「さっすが副隊長!あとはお願いしますね♪」

それが真実だった。

でもどうして保科くんが知ってるの…?

「…すまん、偶々聞いてしもてん」

『そう…なんだ、私全然ダメだ。専用武器も使いこなせない、部下にまともに指示もできない…ほんと全然だ…んぅ!?//』

全然ダメだよねって言いたかった…

でも言わせてもらえなかった。

何故なら保科くんにキスされたからだ。

触れるだけのキス、数秒なのにすごく長く感じた…

「そんなことあらへん、僕は知ってる。君がどれだけ努力してるかを…せやからそんな自分のこと蔑まんでくれや…」

『ッ保科くん…どうして…?』

「好きやねん、君のこと…ずっと前から…」

『へっ!?//』

雨に濡れて少し寒かった筈なのに、保科くんの言葉で突然全身が熱くなった。

保科くんが私のことを好き…?

真っ直ぐ私を見つめる彼の赤紫色の瞳はとても綺麗だった。

その美しさに吸い込まれそうになる…

保科くんの手がそっと私の頬に触れた。

「エマ、第3部隊へ来てくれ。君の力が必要やねん」

『で、でも…』

凄く嬉しかった、でも今の私はただのお荷物だ…

断ろうとするも…

「大丈夫や、エマ!僕が君を守る。せやから君も僕の隣で僕を守ってくれ。ほんで一緒に戦ってくれ!」

『ッ!』

その言葉は鳴海隊長と同じだった。

でも違う…保科くんは自分の背中を私に預けてくれるのだ。

私のことを信頼してくれている。

「ッ!エマ…」

私の顔を見てギョッと驚く保科くん

それもその筈、だって私は…

『あれっ…なんで急に涙が出てきたんだろ…」

泣いてたから…

自分でも驚いた。

初めて人前で泣いたのだ。

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