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キミの隣【保科宗四郎】

第15章 雨の日《過去編》


医務室にいる隊長の元へと向かった。

謝る為に…

扉を開こうとした時だった。

『ッ!!』

私の手は止まった。

何故なら…

「んっ、あっ…な、るみ隊長…あっ…」

ギシギシと何かが軋む音と女性の甘い声がした、そして彼女が呼んだ名前は紛れもない彼の名前だった。

ああ、もう無理だ…

私はその場から走って逃げた。

でも不思議と涙は出ない、何故?

もうどうでも良くなったから?

気が付けば基地の外まで飛び出していた、外は暗くなり雨が降っていた…

誰もいない公園のベンチに座り、ただボーッとしていた。

隊長に自分のせいで怪我を負わせてしまった責任を取るため第1部隊から離れること、そして別れようとメッセージを送った。

その数分後、何度も隊長から電話がきたけど無視した…

あの時、専用武器を使いこなせてれば隊長に怪我を負わせなかった。

もっと自分が強ければ周りは認めてくれたのかな…

隊長の理想の女性になっていれば彼は浮気なんてしなかったのかな…

もう疲れた…

『もう…やだ…ッ!』

背後に気配を感じた、振り向けば…

「見つけたで…」

『ほ、しなくん…』

少し息の荒い保科くんがいた。

おまけに傘もささずに…

どうしてここにいるの…?

「聞いたで。鳴海隊長のこと…」


いつもニッコリ笑ってる保科くんだけど、今日は珍しく瞳が開かれていた。

隊長に怪我負わせちゃったこともう聞いたんだ…

『私のせ…「ちゃう!お前のせいやない」えっ…?保科くん?//』

気付けば私は保科くんの腕の中にいた。

「お前のせいやない、ほんまはお前が本獣倒して他の隊員が余獣を倒す作戦やったんやろ?せやけどその隊員らはお前に全部任せた。ちゃうか?」

『ッ!…どうしてそれを…』

保科くんの言う通りだった。

そう、本当はその作戦だった。

だけど余獣を倒すはずの隊員の中にいつも嫌がらせをしてくる人がいた。

流石に任務だから…だと思っていたけど私の考えは甘かった。


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