第15章 雨の日《過去編》
亜白隊長との食事は楽しかった。
第3部隊への勧誘を断ったものの、そのあとは普通に色んな会話をし、食事をした。
久しぶりに笑った気がした…
部屋に戻るや否や、私は資料作りに励んだ。
保科くんはやっぱり前線で戦うべきだから…
亜白隊長ならきっと保科くんを分かってくれる、そう思った。
私の予想は当たっていた…
保科くんは第3部隊へ異動した。
そしてみるみる彼の強さは世間へ知れ渡った。
あれだけ無理だと言っていた人間たちは掌を返したのだ。
第3部隊へ異動して数ヶ月後には副隊長になった保科くん。
私の環境は変わらずだけど、保科くんの活躍を聞くと何故か嬉しかったし、元気が出た。
私も頑張らなくちゃっと思えた。
『私も負けてられない!』
だけどこの数日後、私は心が壊れかけた…
私はその日の任務で、隊長に怪我を負わせてしまった。
本獣との戦いで手こずり、余獣の存在を忘れていたのだ。
気付いた時には遅かった、目の前に突然現れた余獣の攻撃を避けることができなかった。
反射的に目を閉じた。
然し、痛みはなかなかやって来ず恐る恐る目を開ければ…
『ッ!鳴海隊長!!』
「くっ…僕は大丈夫だ、さっさと片付けろエマ」
鳴海隊長が庇ってくれたのだ。
軽傷ではあるものの、隊長に怪我を負わせてしまった。
それは紛れもない、自分の力不足だ。