第15章 雨の日《過去編》
---話は再び数年前へ戻る
エマは第1部隊へ配属後、みるみると力をつけていき副隊長の座へと辿り着いた。
強くて、凛としておまけに美しいエマ。
勿論、第1部隊の隊長である鳴海は気にいるわけでエマに猛アプローチを重ね二人は付き合ったそうだ。
然し、付き合ってから暫くたった頃だった…
エマはあることに悩まされるのであった。
「白雪、顔色が悪いが大丈夫か?」
『亜白隊長…いえ、大丈夫です!…ッ!亜白隊長…?』
会議に基本出ない鳴海の代わりに副隊長であるエマはよく鳴海の代理で会議に出席していたこともあり、ミナとエマは顔を合わせればよく話す仲だった。
お互い数少ない女性隊員、そしてリーダーでもある為すぐ仲良くなった。
風の噂で鳴海とエマが付き合ったことは耳にしていたが、深くは聞かずにいた。
然しここ最近悪い噂を聞いたのだ。
エマに嫉妬した女性隊員たちが彼女に嫌がらせをしているということ、そして…鳴海の女遊びが激しいことを…
あくまで噂、全てを信じているわけではないものの、やはり気になった。
久しくあったエマの表情は暗く、あの噂は本当だったのだと確信しミナは心配になった。
ミナの元から去ろうとするエマの手をミナは無意識に掴んでいた。
「白雪、今日時間あるか?」
『は、はい。大丈夫です』
ミナはエマを食事に誘ったのだった。
「最近どうだ?」
『へっ?もしかして亜白隊長も心配してくれているんですか?』
「私もってことは…」
『私の同期も心配してくれている子がいて、でも大丈夫です!気にしなければ良いことですし』
にっこりと微笑むエマだが、その笑顔はとても悲しそうだった。
切なく笑うエマにミナはつい…
「私の部隊に来ないか?」
『えっ…?』