第14章 立川基地襲撃
「けどまぁ…1%くらいは期待しといたるわ」
カフカは冗談でも保科の言葉が嬉しかった。
この人の期待に応えたい!超えたい人物…
カフカの中で保科はとても大きな存在となった。
そして一つどうしても保科に聞きたいことがあったカフカ…
「あの、副隊長なんかありました?」
「ん?なんでや?」
「今日すげぇため息ついてたじゃないっすか、なんかあったのかな…って」
そう、今日1日保科は数えるだけで30回はため息をついていたからだ。
周りでは大好きなモンブランを暫く食べてないからとか、女絡みだとかしょうもない噂が飛んでいた。
カフカ自体はそんな噂は全く信じてはおらず、ただ心配していた。
そんなカフカの心配を汲み取った保科は何故か素直に…
「彼女と喧嘩してしもたんや」
「あー、彼女と喧嘩…ってええ!?副隊長彼女いるんすか!!!」
保科の予想外の言葉にカフカは驚きを隠せなかった。
「うるさっ!なんや、僕に彼女がおらんと思てたんか?おるわ!めっちゃべっぴんさんな!!!」
「す、すみません!ほ、ほらお忙しい身ですしなかなか…ねぇ?」
「はぁ…まぁちょっとした喧嘩やねん。でもやっぱりモヤモヤするんやわ。僕に愛想ついてしもて他の男のとこいかんかなっとかな」
再びため息をつき、しょぼんとする保科。
意外と可愛いとこがある保科にカフカは…
「副隊長のその想いを彼女さんに話しましょ!きっと分かってくれますよ!!」
なんとか保科を元気づけようとした。
カフカの嘘のない励ましの言葉に保科も少し元気が出たようで…
「フッ…ありがとな、カフカ。1%元気出たわ」
「い、1%すか…でも少し元気が出たなら良かったっす!」
「よしっ、僕は庁舎に戻る。もう寝ろよ」
「了!」
保科との意外な濃い時間を過ごしたカフカは保科のことを更に尊敬し、好きになった。勿論、上司としてだ。
保科の彼女がどんな人物か気になったものの、カフカもいい大人。
そこは敢えて聞かなかった。
まさか彼女がエマだとはこの時のカフカは知る由もなかった。
そして保科とのこの時間がカフカの運命を大きく変えることとなるのであった…