第13章 慰労会
「こんな楽しそうな皆んな初めて見ました。場を設けてくれてありがとうございます」
和やかな雰囲気の宴会にレノは保科とエマにお礼を言った。
すると…
「甘いな、市川。こっからが本番や、なぁ?白雪?」
『え?あ、そうね…』
ニヤリと悪い笑みを浮かべる保科、一方のエマは苦笑いを浮かべた。
二人の対照的な態度にレノは首を傾げた。
然し、その答えはすぐ分かるのであった…
「はぁー!?あんたはスタンドプレーが多すぎるのよ!」
「ああっ?そりゃお前だけにゃ言われたくねぇな!」
宴会場内にはキコルと伊春の言い争う声が響き渡った。
「ちょ、喧嘩は…」
レノは慌てて二人の喧嘩を制しようとするも…
「お前は我流が過ぎるんだ…基本を疎かにする傾向がある」
「お前こそ基本に忠実過ぎて連携の時、一呼吸遅い」
キコルたちを筆頭に他の隊員たちも次々と言い争いをし始めたのであった。
周りに圧倒されながらもレノは気付いた。
全員が任務の話をしていることに…
そしてここにいる全員が強くなりたいのだと…
然し、お酒もいい感じに回り始めれば言い争いはヒートアップする訳で…
「アッハッハ、始まったなぁ」
『やっぱり…』
「毎年の風物詩ですね」
涙を流しながら笑う保科と小さくため息をつくエマ、そしてその光景を楽しそうに眺める小此木の様子からいつものことなのだとレノは察するも開いた口が塞がらなかった。
宴会は違う意味でどんちゃん騒ぎとなったのであった…