第2章 2
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「せや!!どんだけ親方が可愛いか、今度ウチに見に来たらえぇ!!」
俺は手を打って彩夏に言う。
ホントはもっと親方について語ってやりたかったが、見たこともないイヌの話を長々と聞かされて、彩夏も疲れとる様やし仕方なく俺は話を終わらせた。
それに、『百聞は一見にしかず』。
実際に見たら、彩夏も親方の可愛さにメロメロになるやろ。
「はい、また今度……」
呆れたように笑って頷いた彩夏の動きが止まり、顔から次第に笑みが消えていく。
それからきゅっと唇を噛んで、少し俯いた。
──何かを、考えとる様や。
俺はその様子を見て、決心した。
──言われる前に、
………訊くで。
◇
今度、とyasuさんは言ってくれた。
……それは、まだ私をマネージャーとして見ていてくれる、っていうことなのかな…。
それはつまり…まだマネージャーをやっていても良いっていうことなのかな……。
───訊かなきゃ。
怖いけど、しっかり確認しなきゃ…。
私は覚悟を決めて顔を上げ、口を開いた。
「あ、あのっ「彩夏はさ、」」
私が口を開いたのとほぼ同時に、yasuさんも口を開いた。
「え、あ、はい…」
「………マネージャー業について、どう思う?」
「…え?」
「マネージャーを辞めたい…って…思っとらん?」
私は、目を見開いて絶句した。